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2012/04/25

自動車事故・・・原発とドラッグ

 先日、京都で無免許の18歳少年が、一晩中車を乗り回した挙句、居眠り運転で登下校中の小学生の列に突っ込み、女子一人と付き添いの妊婦が死亡、今も児童2名が重体である。当然妊婦のお腹の中の子供も亡くなったわけで、本当にやりきれないほどのひどい話と思う。

 自動車による死亡事故はだいたい年間5,000人くらい。多い年は10,000人を超えたこともある。しかし、危険運転致死傷罪が新設されるような法改正や、シートベルト義務化免許がないと動かない自動車開発論はあるが、 「自動車を無くそう」とか「脱自動車」とか言う声はあまり聞いたことがない。

 今日はそこから始まる原発の話。

 


 多くの日本を想う著名人たちが声高に訴えているけれど、「脱原発・原発推進」と「大飯原発再稼働是非」を一緒にしてはいけない。前者はイデオロギー、わかりやすく言えば好みに基づく選択肢で、後者は現実的に存在する問題解決の選択肢だからである。

 ドラッグ(麻薬・覚せい剤)を例にとると分かりやすいかもしれない。

 ドラッグは中毒性があり、自分の健康を害することはもちろん、幻覚・妄想・錯乱によって他人を傷つける可能性がある。だから法律によって禁止されている。



「ドラッグはよくないものだ



という考え方は、「脱原発・原発推進」と類似している。

 一方、医療行為においてはドラッグが使われている。麻薬は癌などの強い痛みの緩和に用いられるし、覚せい剤も昏睡からの回復、術後の虚脱状態の改善などに使われる。「ダメ!ゼッタイ!」と言われてるが、医療用においては必ずしも絶対ダメではないということである。これは「大飯原発再稼働是非」と類似している。

 


 ここで言いたかったのは、「だから大飯原発は再稼働してもいい」ということではない。そうではなく、もし目の前に対策すべき問題がある場合には、何らかの「適正に使用するための制限」の条件下であれば、原理原則を修正するという選択肢はありうる、ということである。

 ドラッグの例では、「医師免許を持った医者が使う」が条件に相当する。危険性を理解した医者ならば、ドラッグは使ってもいいということである。これを大飯原発に当てはめると、要するに

もし電力需給が大きな問題であるならば、
リスクを正しく判断して適正に使用
できるのはだれか?」

という問題に帰結する。そしてもう一つの問題は勿論


「電力供給は大きな問題であるか?

である。

 本当に判断を正しいものに導きたいのなら、大飯原発再稼働については簡単にはこの2点について意見表明をすることがたぶん解決に繋がる。要するに、

「私は電力需給は問題と考えるから、
再稼働について
○○に安全の判断を委ねる

というタイプと、

「電力需給が仮に足りないとして、
それで計画停電の不便や節電や
景気悪化があっても
私はそれを許容する」

というタイプになると思う。

 前者は橋下大阪市長の主張で、恐らく


正しく安全の手続きが取られないならば、
電力不足も容認する」

と言っているのであろう。私にはそう聞こえる。

 私は原発の最大の問題は、安全性確認の手続きではなくて(これはちゃんとやればできる話なので)、核燃料の最終処理だと感じている。もう既に燃料を保管するスペースがなく、他国と異なり日本では最終処理場所がまだ決まっていない。こんな状態で原発を運転している感覚が信じられないが、きっと40兆円の税収で90兆円の予算を組んでどんどん借金を増やしているのと同じ感覚なんだろう。

 だから私は脱原発派。でも、原子力発電の可能性は否定しないので、研究ベースについては反対はしない、というスタンスなわけである。

 


 冒頭の事故の話。こんないい加減なことをやって、それでいて問える罪が法律上軽いことに、今の法制度に対する大きな問題を感じる。そして、法治国家と謳いながら、実のところ肝心の「法」が正しいかどうかについての議論を恐ろしいまでに軽んじてきた結果が今であると感じている。

・自動車社会という危険に対する安全の問題

・ドラッグという危険に対する安全の問題

・原発という危険に対する安全の問題


それぞれ問題の程度や所在に違いはあれど、きちんと考え方を整備することこそが政治に求められており、政治が正しく判断するためには我々が政治に対して正しいメッセージを送る責任がある、という国民サイドの責任感を述べることで、自動車を運転する者として事故の被害者およびご遺族へのご冥福とお悔みの言葉としたい。

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コメント

冒頭の事故で亡くなった二人は親子ではありません。念のため。

投稿: ぷう猫 | 2012/04/25 07:40

いつもご指導ありがとうございますm(_ _)m

投稿: 森イチロー | 2012/04/25 23:58

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